原作を読んだら面白かったので、つい勢いで映画も観てしまった。
ふと、小説を映画化するというのはどういうことだろう?と思う。
文章で綴られた物語を映像として再現する訳だけど。
ストーリーは2時間には収まりきらず駆け足で、ミステリーなのに原作を読んでないとついてくのがやっとだと思う。
自分の中で印象的なシーンが省略され、別のシーンがクローズアップされていたり、結末に違いがあったり…。
残虐なシーンばかりが、ここぞとばかりにゆっくりと描かれる。
本を読んだ私の中で物語の核となっていたのは、40年前の事件を解決しようとする主人公が捜査に行き詰まり、何も手がないと思ってる最中に手がかりを発見し始める時の、差し迫る緊張感と高揚感、他の当事者たちの無関心さとのギャップなど、そういうものだ。
映画では簡単に謎を解き、どんどん解決へ向かっていく。
本を読んでると時間が消えるが、
映画は時間に支配される。
犯人が誰かは、俳優の人相と台詞で、登場シーンで分かってしまう。
つまり何も再現できないのだ。
真のリスベット・サランデルは私の頭の中にしか存在しない。
本を読んでる時だけ、私はこの物語の世界を独り占めできる。
そう気づいた。