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ドラゴン・タトゥーの女のabeeのレビュー・感想・評価

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)
3.9
【探偵とハッカーと華麗なる一族】

デヴィッド・フィンチャー監督作。
元ネタの「ミレニアム」シリーズは小説、映画共に大ヒットを記録。
オリジナルは未鑑賞なのでいつか観たいですね。

こちら再鑑賞なのですが内容は全く記憶にありませんでしたので新たな気持ちで鑑賞できました。

オープニングが抜群にカッコいいですよね。
led zeppelinの「移民の歌」のカバー曲から始まるのですが歌うのはyeah yeah yeahsのボーカル・カレン。
オープニングだけ2回観ました笑
アレンジもめちゃくちゃカッコいいんですよね。

そして本編ですが最初の1時間は正直かなりつまんない。

ミカエルとリスベットの繋がりが見えてくるまで面白くないんですよ。
最初の1時間はミカエルサイドとリスベットサイドの場面が行ったり来たりするし、ヴァンゲル一族の家族構成がかなり複雑だし、それを淡々と説明する場面も続きますからね。

ミカエルとリスベットが共に行動し始めてからは物語も大きく動き出すし、ヴァンゲル一族の歪んだ関係にはゾクゾクするし、ミステリードラマとしてかなり楽しめました。
再鑑賞だからだとは思いますが途中でオチが分かってしまいましたが。

それ以上にこの作品は結末の余韻がいいです。
そもそもゴールはここなのかも知れません。
その割にはリスベットの生い立ちをあまり掘り下げていないのでここを想像力で補完しなくてはなりません。
ミカエルという人間は誰にでも優しい男であり、だからこそ近寄る人間を誰も拒絶しない男。
その打算の無い優しさで女性を傷つける男だということ。
リスベットは人に心を開くことが難しい人間であることをストーリーの中から読み取り、更に想像して補完することができれば、最後のシーンからリスベットの寂しさと、再び彼女を覆う孤独を画面から感じ取ることができると思います。

ということで、最初の1時間の退屈も集中力を途切れさせることなく観ることができれば、胸くそな一族の行く末も、優しさの残酷さも感じられる人間ドラマとミステリーを堪能できるのではないかと思います。

しかし、これは狙いなのかどうか、オープニングと内容があまりリンクしないのです。
再鑑賞なのにあのカッコいいオープニングの印象すら無かったのはストーリー、そして結末がこのスタイリッシュなオープニングからは想像しにくいからなのかも知れません。
このオープニングに興奮した方はそのテンションを最初の1時間維持するのはちょっと難しいかもしれないし、集中力を途切れさせてしまえば家族構成や事件に関わる人間関係を把握しきれなくなる程登場人物が増えるのでそこからテンションを上げていくことも難しいかもしれません。

観方が少し難しいタイプの作品なのかもしれませんね。
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