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エル ELLEのymsk1017のレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
3.5
物議を醸した問題作、原作は「ベティ・ブルー」のフィリップ・ディジャン。

マイリストで長く眠っていたけど、旦那が観てみたいと言うのでやっと鑑賞。これは…賛否両論あるだろうなと思うけど私は中々楽しめた!!「ブラック・ブック」以来のポール・ヴァーホーヴェン監督、やっぱり強い女性が主人公なんだけど、今回は圧倒的な鋼メンタル!!笑

開始10分くらいで主人公ミシェルのあまりの強さに、これは共感とか感情移入とかそんなんじゃないと確信。スーパーウーマン過ぎんのよ…笑 精神的にも経済的にも完全に自立してて身のこなしも素敵で何事にも動じない。主演のイザベル・ユペールは撮影時62歳。(で、50歳くらいの設定らしいが…)こんなに素敵な60代女性ってあり?信じられん…!※日本版ポスターは加工してあって最悪。

監督は"これは物語であり、女性についての哲学的な映像ではない"と言っている。性被害に遭った女性の反応としてミシェルは異常だと感じる一方で、じゃあ悔しくて辛くて泣かないとダメ?それこそが監督からのアンチテーゼなのかなぁ。

以下ネタバレ

終始絶妙に笑っちゃう演出が多く、旦那が的確にツッコんでくれたが(うるさい)印象的だったのはダメ息子と思っていたヴァンサンが、実は生まれた子どもは最初から自分の子ではないときちんと理解した上で、子どもを愛して受け入れようとしていた事、また隣人のレベッカは夫とミシェルの関係に全く気付いていないのかと思いきやラスト全てを受け入れてあのセリフ。ナメていた登場人物こそが冷静に現実を捉えているという皮肉。フランス語は聞いていて眠くなりがちな私だが情報量が多く複雑な関係性から目が離せない2時間だった。
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