ちろる

エル ELLEのちろるのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
3.8
青山シアターオンライン試写会にて
主人公ミシェルの誰も寄せ付けないような張り詰めた刺々しさと、掴めばポロポロに崩れ落ちてしまいそうな儚さという両極端を兼ね備えたイザベル ユペールの演技にただ身震いしました。

ミシェルの決して幸福に辿り着けるようにはみえない薄暗い靄の中を生きているような人生は見ていて苦しくなるし、「レイプ」という非日常ではない残酷なシーンとエロティックさの繰り返しで、正直なところ気持ちの置きどころがわからなかったけど、中年女性の欲望と、プライド、恐怖、孤独、嫉妬、憎悪という貯蓄してどす黒く蠢いた闇の塊。そんなの知りたくないのに、もう目が離せなかった。

この作品に期待してたのはイザベル ユペールの怪演なのだけど、やはり期待以上。
毎度女の業を見事に演じ切る彼女には感服します。
私はこれからこのミシェルの年齢にむかっていくわけで、本当の意味ではまだ彼女の年齢特有の闇を理解しきれているわけではないと思う。
多分ミシェルと同じ年齢になった時にこれを観て、その時の私が何を感じ思うのか楽しみなようで怖い気もする。そんな作品でした。
#オンライン試写会
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