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エル ELLEのblacknessfallのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
3.8
ヴァーホーベンは色んなタイプの映画を撮ってるけど言いたいことがブレないから信用してる。
人間に貴賤はない。立派に見える人間も心の奥底は立派に見えない人間とそう大差なくゲスである。特に男は笑

今作も見事にそんな感じ。男は本当にダメなのばっかり、ベクトルや有害度の方向や大小あれど、みな「ダメだこいつ」て言いたくなる笑

そしてこれもいつも通りなんだけど、ヴァーホーベン映画の女性はいつもタフで毅然としてる。
今回、そのヴァーホーベンの女性像の究極がこの映画なんじゃないかと思った。

これは絶対ヴァーホーベンなりの女性讃歌だとは思うんだけど、女性を貶めてるように見えた人も多数いたのも無理はないかなって思うぐらい、レイプシーンの演出はサディスティックで強烈に生々しい。主人公のイザベル・ユペールの行動も不可解。

正直、女性心理に疎いのでこのユペールの行動原理なり心情はよくわからなかった。強さへの希求と自分で落とし前をつけるっていう矜持みたいなものは感じたけど。

ユペールの自分の力でとにかく事態を打開する。警察すらあてにしない、このポジティブだが極度な人間不信とニヒリズムはヴァーホーベンの人格その物のように思えた。

ヴァーホーベン映画の中では好きな作品ではないけど、ハリウッドからオランダに戻ってこじんまりとしてた印象あったので往時の露悪趣味とパワフルなニヒリズムが戻ってきた感じがしたのが嬉しかった😀次作に期待だな。

ウォーホーベン映画はオランダ時代は危険な愛とスペッターズ。アメリカ時代はグレートウォリアーズ/欲望の剣とインビジブルが好きです笑
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