にゃんこむ

エル ELLEのにゃんこむのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
3.0
フランス、ベルギー、ドイツで制作されたスリラー映画。

全編通して非常に生々しさを感じる映画。
個人的には、「凄い映画だな」とは思うのですが、皆エッチすることばっかりしか考えていないし、共感できる部分は少なかったです。ろくでもない人間しかいない……。

全編通してミシェルの願望に付き合わされているような気分を感じました。レイプされて心が壊れてしまった女性の物語と思っていたのに、内容が全然違ったことが、この映画の一番の衝撃でした。

物語の開始早々レイプされてしまうミシェル。強姦魔が去った後は、暴れて割ってしまった食器を片付け、服を捨て、お風呂に入る。その間は至極冷静で、逆にこのまま自殺してしまうんじゃないかというくらいの危うさを感じました。

親しい友人に打ち明けたり、カギを変えたり、護身用品をそろえるが、幼い頃のトラブルで警察に不信感を持っていたミシェルは、警察に届け出ることはしない。
この作品はレイプ後を描いているので、フラッシュバックや、興奮状態で少しおかしくなってしまった女性のようですが、幼少期から彼女は心にわだかまりを抱えていたんでしょうね。
ゲームに残虐性を追求するのも、顧客に向けてというより、自分の願望を満たしたいからというのが大きい気がします。
良い人に巡り合えていたら結果は違っていたんでしょうが、変態はそういう女性を目ざとく見つけるのが上手いので、彼女の周りには、変な奴しか集まっていないのが辛い。
ミシェルはとても弱い人間だから、他人を信頼することもできず、自虐的な形でしか歪みが発散できていないのが見ていてキツかったです。

唯一、猫だけは癒し。
にゃんこむ

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