ファンタジーだと思い込んでたけど全然違った。豪華キャストに負けないストーリーと映像。自分で自分にナイフを突きつけるような身につまされる内容でした。
幼い頃からミジャと一緒に育った"オクジャ"という豚。ずっと一緒にいられると思っていたのに、オクジャは10年育てたら食品会社に返還しなければならない品種改良された食肉用の豚だった。納得のいかないミジャは、オクジャを追い掛けるのだが…。
とにかくオクジャとミジャがめちゃくちゃ可愛い。愛らしくて仕方ない。キャラクターが良い。
そこに、ミジャが走り回る度にこちらまで身体が軽くなるみたいに感じるカメラワークが楽しい。臨場感、躍動感が凄かった。
そして、肉を食べるという事についてとても考えさせられる。それに尽きる。
今、当たり前のように肉を食べているけど、食用なら良いという話ではなく、全ての動物を守るという話。食用も、動物園の動物も全て。なので、今持っている倫理観が覆る問いかけだし、心にチクチクと罪悪感が芽生える。人間による人間の為のルール。肉を食べなくても生きていけると知っている上で食べるという選択肢のあるルール。本当に正しいのだろうか？何が正しいのだろうか？
これが豚じゃなく、犬や猫だったら？きっともっと感情移入して、なんてことするの！信じられない！動物虐待！と思ったんだろう…。自分じゃない誰かに。
なぜなら私たちは犬や猫を食べないから。
だから、遺伝子組換えで品種改良された豚という部分が肝なんだなぁ。凄い。凄く皮肉。自分はなんてことしてるんだろうとめちゃくちゃ思わされる。
命を頂いているんだから、食に感謝を。
とはよく言うけれど、それもエゴじゃない？
豚、馬、牛、鳥、羊…食べなくても生きられるよね？
映像はグロかったりしないのに、ここまでずしんと考えさせられるとは…。これを見て、肉食べるの止めよう、というか食べたくなるなる人もいるのでは？
私も今、全然食べたくないです、お肉。
これを観てヴィーガンになる人増えそう。実際ここ数年よく見聞きするし、流行ってるしね。かと言って、それだけでは生きていけないし、食べる食べないだけの問題でもない。深い。
それでも3日も過ぎれば肉食べちゃうのが人間だったりもするんだけど。何の犠牲もなく生きられたらいいけど、そんなのは存在しないしね。
とにかく暫くは自問自答が頭から離れないと思うな。映画の力は凄いなと改めて思わされました。
スティーブン・ユァン(TWDのグレン)が観たくて鑑賞。スティーブンは相変わらずとてもかっこよかったんだけど、予想外に考えさせられる作品だった。しかも監督がポン・ジュノだったの知らなかった！ポン・ジュノ凄いや…目に見えない核心みたいな恐怖を映像にするのが本当に上手い。そしてそれをユーモアに絡めるのが秀逸。
キャストもBrBaのガス様、ジェイク・ギレンホール、リリー・コリンズ、ティルダ・スウィントンなど豪華で、めちゃくちゃ気合い入ってるなと伝わったし、キャストが無駄になっておらず、逆にずっしりとした内容を豪華キャストが和らげてキャッチーにしてくれているなと感じた。
ミジャとオクジャの友情物語と、利潤最優先の大企業や過激な動物愛護団体の活動を鋭く批判する社会派作品として、とても見応えがありました。もっと早く観れば良かったな。
しかも、制作プランBってブラピの会社じゃん。ポン・ジュノ×制作ブラピって事だったのか。
2021-28
