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オクジャ okjaのにへのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
4.1
大坂なおみ選手の優勝で歓喜に沸く日本だが、彼女を日本マンセーのマスコットのように扱うマスメディアの姿勢にはほとほと呆れる。遂に恒例の「日本語でお願いします」が断られたらしい。ざまあみろ。

で、本作はまさにそのニュースにタイムリーな作品だと個人的に思った。他のレビューを見ると「動物愛護」の問題を取り扱っているような書かれ方をされているが、それは違うと僕は思う。好き、会いたいという純粋で小さな欲求に仰々しいイデオロギーを仮託したがる社会。大人、権力の板挟みに会う子供の感情を描いた作品だと思う。なんで一人の選手の活躍を外野が騒ぎ立てて国策のように仕立てるのか?なんで一人の女の子の感情が企業の宣伝塔に、テロの火薬になってしまうのか?それこそがテーマではないか。やや長すぎなエンディング後のおまけムービーを観逃さなければそうだとわかるはずだ。

テーマは間違いなく魅力の一つだが、そのテーマに対してKYなまでにコリアンユーモアが炸裂しているのも魅力である。ちょくちょく挟まれるSNS映えギャグにはいちいち笑わされたし、お決まりの過剰な暴力にはoh...。地味にツボだったのは爺ちゃんが足で銭を守ろうとするとこ。あとは前半の撮影が抜群に楽しい。空間を大きく使った演出とそれを余すことなくここぞというところで根性の長回しを見せるパワフルさには思わずニンマリ(特にガラスが割れるシーン!)。何故にわざわざギレンホールを起用しておいて中身のないマッド野郎なんだとそこはガッカリだったが、ポール・ダノ愛溢れるダノダノにはホッコリさせられたから今回は見逃してやる。

だけどラストの展開には久々に泣かされたなぁ。少女の成長を結局は大人のしきたりへの一歩にしてしまう激辛な展開、とそれを越えた後に初めて目に飛び込んできた群れのロングショット、子を守る親の姿にはどうしたって涙が溢れる。。少なくとも今日は肉食いたくないな。