ずどこんちょ

オクジャ okjaのずどこんちょのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
4.2
ポン・ジュノ監督作品。
Netflix入会前からずっと見たかった作品でした。これだけは外せなかった。楽しみを後に回していたら、その間にまさかのポン・ジュノ監督の『パラサイト』がアカデミー賞の快挙。素晴らしい!余計に本作への期待が高まりました。
『スノーピアサー』ではメイクで変装させていたティルダ・スウィントンは、本作でもまた一人二役の異色キャラ。冒頭から嘘くさいPR活動をするCEOとして登場させており、看板のイラストも過剰過ぎる笑顔が不気味です。
変幻自在の怪演女優ですねぇ…

やっぱり食用動物はペットにしてはいかんのですよ……人間の情が移るんですから。そうでなくてもオクジャには知性がありました。崖から落ちそうになったミジャを助けるため、自重を利用して引き上げたり、ミジャと会話をして意思疎通が図れたり。
普段から私自身も豚肉を好んで食している立場ですので、食糧危機に瀕して食用動物を飼育、加工すること自体に反感はありませんが、そもそも今回の会社は嘘で塗り固めたブラック会社なので天誅があって然るべき。

食用に連れ去られるオクジャ、
オクジャを取り戻そうと追いかけるミジャ。
そこに現れるのが動物解放戦線(ALF)。実在する組織だそうです。
このALFのメンバーがユニークで、テロリストのような風貌であるものの、すべての動物に優しく、ミジャを助けてくれる存在なのです。
輸送トラックを襲撃する時も「これから襲うから」と助手席の男にシートベルトを付けさせる必要以上の配慮ぶり。メンバーの一人は食料への不信感が強過ぎて食事も取れず、ミッション中に倒れ込む本末転倒なところもクスッと笑わせます。
過激派なのに、どこかゆるい。
メンバーたちの人間味が感じられるALFの登場で、緊迫したオクジャ奪還計画と残酷な食肉加工の現状に「緩み」が生まれます。
時折、音楽もコメディ調にして空気感をライトに感じさせており、全体的に「動物の命を食べる」という重たいテーマとのバランスを取っているかのようです。

動物と人間の奇跡の絆や、命を食べることの重さを同時に知ることができる作品。
本作を見るためだけでも、Netflixに加入する価値はあるとオススメできるでしょう。