社会性の強い作品をエンタメとして人の心に届けるプロ、ポン・ジュノ監督のNetflixオリジナル映画。
前半から後半にかけての温度差の変化に衝撃を受けた。
崖でのオクジャとミジャの緊迫感溢れる描写、トラックを追いかけるミジャと、それを追いかけるカメラワーク、トンネルでのアクション描写、ただのアクションではなくて、おおおまじか！と思わせる斬新なアイディアとCGをリアルに感じさせるカメラワークや演出は見応えしかない。
そしてその演出に応えたアン・ソヒョンがまた素晴らしい。
可愛らしい表情から一瞬で悲壮感溢れる表情に変化したり、急に大人びた雰囲気を醸し出してくる。今後の作品も非常に楽しみ。
「この映画は菜食を主張してるわけではないし、だからといって肉食を批判してるわけでもない。ただ、ここ数10年の間に生まれた屠殺システムについて、一度立ち止まる必要があるのではないかと考えた。」 というポンジュノ監督の言葉。
人間が生きていく為に他の生物を殺したり、普遍的な事だが実は目を背けたくなるような真実が隠されていたり、当たり前になってることが実は1番残酷で生々しいんだって改めて感じた。
今の時代、様々な物が便利になったり、低コストで手に入れられる時代になったけど、人間の欲望は常に湧き出てくる。この映画で、生き物に対する価値観や接し方、当たり前な事を疑って考察してみる、そんなきっかけになれば世界が優しくなる気がした。
