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奴が嘲笑うのmaverickのレビュー・感想・評価

奴が嘲笑う(2015年製作の映画)
4.0
2015年の韓国映画。主演は『パラサイト 半地下の家族』のイ・ソンギュン。共演は『ウンギョ 青い蜜』のキム・ゴウン。


イ・ソンギュンはこういう役がよく似合う。端正なルックスと独特の色気ある低音ボイスが魅力的なエリート弁護士を好演。コミカルさも相まってキャラクター性が抜群だった。熱い正義感で行動するというよりは、したたかに勝ちを狙うスマートな男。そこが何とも人間らしくて共感が持てた。重たい作品かと思いきや、意外とコミカルベースな作風。それで成り立っているのは、この主人公のキャラクター性があるから。終始ふざけているわけではなく、ここぞという時には真剣になれる男でもある。そうした作品全体のバランスを、イ・ソンギュンが見事に調和していた。

キム・ゴウンは殺される女子大生の役かと思いきや、主人公と対峙する新人検事の役だった。キム・ゴウンは大好きな女優だが、この役はさすがにちょっと無理があった。本人が元々幼く見えがちなため、検事にしてはさすがに若く見えすぎる。これで新人らしい初々しいキャラならまだしも、やり手のエリートなキャラ設定だし。彼女の演技力は申し分なく、限りなく役に寄せた努力はさすがだと思う。役は合ってないが、それでも作品を引き立てる女優としての力はとび抜けて素晴らしい。童顔で可愛らしいのに、気が強いさばさばした役がよく似合うんだよね。存在感もさすがのもので、主人公と対を成して物語を引っ張ってゆく力強さがあった。やっぱ良い女優だなぁと。作中でデレた時の可愛さの破壊力は抜群で、ますます彼女のファンになってしまった。

犯人を追う話というより、事件の裏側にある真実を追及してゆく部分に面白さがある。主人公が真相をどう解明するのかに釘付けになる話だった。それほど練られた脚本ではないが、見せ方の演出が上手い。主人公のキャラがそこに合致し、見応えのある作品に仕上がっている。なかなかに楽しめた。


ジャケ絵の印象だと微妙そうだったが、役者に惹かれて観て正解だった。唸らせるほどの韓国映画ではないが、十分に良作のラインを越えている。胸糞要素も薄いので、ヘビーな作風を好まない人にもお勧めだ。
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