Narmy

ティエリー・トグルドーの憂鬱のNarmyのレビュー・感想・評価

3.3
突然、男の訴えかけるような言葉の羅列からストーリーは始まる。
徐々にこの男が何に苛立っているのかを知ることになり、こちらのテンションも急激に冷める。
ぶつ切りの場面展開にドキュメンタリ-のようなカメラの揺れ、終始淡々と進むストーリーにはめちゃくちゃ重たい現実がのしかかる。

リストラされ、職業訓練所に通うティエリー。
なかなか再就職には恵まれないが、職員の助言を道標に黙々と探し続ける。
家には妻と障害を持つ息子がいるため、どんどん家計は逼迫していく、、

短絡的なアドバイザー達とは対照的に一時しのぎをせず、将来のことを考えて決断しているティエリーには好感が持てる。
ただ、そうもいっていられない。
ある程度の年齢を経るとなかなか自分を客観的にみることは難しい。
ましてや今までの仕事のキャリアをいかすことができないとなると普通なら自暴自棄になりそう。
そんな状態の中でも悔しい気持ちを押し込め、素直にコツコツと次へのステップを模索する。
悪夢のような現実にいきあたる度、たたかうよりも諦めを繰り返す。
救いなのは家族との関係があたたかいこと。
家族団欒の様子には愛情が溢れていて、それが唯一の拠り所となる。
外とは違いリラックスして妻と踊るティエリーの姿にこちらまでホッと安心する。

後半に出てくる問題は日本でもよくある。
フランスでもそうなのか、、ただ、日本とフランスというかわたしとティエリーとでは捉え方が違う。
そこが逆に重大な意味を持つのかも。
ティエリーの行動がどういう意味を持つのか。
フランスでは日本より貧困や失業の問題が深刻化し、さらに根深いものとなっているからなのかもしれない、、
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