まっどまっくすこーじ

ハートビートのまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

ハートビート(2016年製作の映画)
3.8
前回レビューした「ラ・ラ・ランド」に出ていたソノヤ・ミズノが良い味を出している本作。

内容は音楽×ダンスをモチーフにした青春ドラマ。
そういうとちょっと出涸らし感的先入観もあると思いますが、本作の面白いのは
音楽 → ヴァイオリン
ダンス→クラシックバレエ+ヒップホップ
という組合せなところです。

プロダンサーを目指してNYの学校に来たルビー。
イギリスから訳ありでNYにやって来たジョニー。

地下鉄のホームでヴァイオリンを演奏していたジョニーにルビーが出逢い、徐々に恋仲に…

しかしジョニーは祖父の形見のヴァイオリンを盗まれ、ルビーは学校のレッスンでつまずき、奨学金が危ういというトラブルが二人に降りかかります。

そんな中で、弦楽器とダンスのコラボレーションのコンペティションが行われるというのでルビーとジョニーは、ジョニーと同じアパートに住むヒップホップダンスチームと一緒に出場することに…

という、まあトラブルがあってもとにかく都合の良いように展開していったり既視感バリバリの盛り上げかたではありますが、ヴァイオリンの演奏がとてもロックっぽいのと、ダンスパフォーマンスのレベルが高いので許してしまいます!!

監督はミュージシャンでもあるマイケル・ダミアンという人で、脚本はマイケルと元ダンサーの奥さんとの協同執筆。
つまりは自分たちの経験や想いを映画にしたわけですね。

ただ正直言って、演出が上手いとは感じられなかったのが残念…
原題の≪high strung≫は緊張したとか興奮しやすいという意味ですが、その割りには主人公の二人がのんきな感じで緊張感に欠けると感じました。

しかし前述のとおり、ヴァイオリン演奏とダンスには思わず観入ってしまうものがあり、衣装などのセンスや色合いも私好みでした。

あと、ジョニーの祖父の形見のヴァイオリンが
普通のヴァイオリンの色と違って、黒から飴色のグラデーションカラー(ギターで言えばタバコサンバーストのような感じ)で、とても素敵でした。

ルビーを演じるキーナン・カンパは本作で映画デビュー。
元々が全米ユース・バレエ・コンペティションの金メダリストで、ロシアのマリインスキー・バレエに入った(アメリカ人で初めてらしいです)本物のバレリーナなので、バレエを本気で踊っているシーンはそれだけでお金が取れる素晴らしさです。
ただし、演技はまだまだ…
今後に期待です。

ジョニーを演じるニコラス・ガリツィンもまだ駆け出しの若手ですが、なかなかどうして、掘り出し物(失礼!!)かも知れません。
ミュージシャンでもあるらしいのですが、とにかくオーラも色気も良い感じで発している雰囲気です。
彼はちょっと今後を注目してみたいですね。

そしてルビーのルームメイト、ジャジーを演じるのはソノヤ・ミズノ!!!
父は日本人、母はアルゼンチン系イギリス人。
東京出身でイギリスで育った今後超絶対要注目の女優さんです。

やはりクラシックバレエ出身なのでダンスは素晴らしい~!!(≧∇≦)
モデルもしているので、そこにいるだけで目を引く存在感もあります。

「エクス・マキナ」では映画デビューとは思えないほどのオーラを発しておりましたし、本作では主役のルビーを完全に喰ってます。
「ラ・ラ・ランド」ではチョイ役でしたが、もっともっと使われてもおかしくない実力が潜在していると感じています。

次は「美女と野獣」に出ているらしいのでチェックしたいと思いますが、とにかく端役でもいいから話題作に出続けていけば、いつか主役のチャンスが来ると信じて頑張ってほしいと思います。

という感じで(全然説明になっていない…)、青春映画として観れば結構楽しめると思います。
ただ、伏線がほったらかしで回収されていないなど、基本的に脚本も演出もB級感が漂っていたのは勿体ない。
冒頭の入りかたや地下鉄ダンスバトルやヴァイオリン対決などの演出は「おっ!?」と思わせるものがあったので本当に惜しいなぁ…

どうやら続編も製作が決まったようなので(といってもキャラクターは全く違うようですが…)、次は映画としてのレベルアップを期待したいと思います。

ということで、ハードルは低くして頂きたいと思いますが、音楽好きの方やダンス好きの方にはお勧めの1本です!!!(≧∇≦)