an0nym0us

フラワーショウ!のan0nym0usのレビュー・感想・評価

フラワーショウ!(2014年製作の映画)
3.3
ランドスケープデザイナーとして有名なメアリー・レイノルズをモデルに、実現困難な夢に立ち向かって、本当に実現させてしまうという王道サクセスストーリー。

映画としては、駆け足なストーリーと微妙なファンタジー、蛇足にも思えるロマンスが残念でした。でも…それを補って余りあるだけの、観る価値があったと思えた作品。

その最たるものが…映像美。
映像美というか…映し出される自然の美。
それには無条件に心を打たれた。
無意識に涙が溢れてしまった。

なんでなのか…とても心細くなった。
仲のいい友達と離ればなれにならなきゃいけなくなるみたいな…喪失感と先への不安。何よりも寂しさ。

太陽に背を向けて、人造の冷たい光の方へと歩いている感覚…振り返りたいのに、振り返れない。暗い方に進む事しかできない…何処に連れて行かれるんだろうって、朧げな恐怖。

子供の頃の写真。
お気に入りのワンピを着て、日焼けした肌の私が、兄から渡されたカブト虫を掴んで笑っていた。お転婆だったしなー…

…今じゃ触るなんて怖くて無理。

行事かな?土まみれで芋掘りをしてる姿。
今では土に触れたら、汚れたと感じる。

触れないほど汚したのは…自分たち。

何かを蔑ろにして生きてないか?
優先順位を間違ってしまってないか?
そんな自問自答が起きた。

なんだか無性に息が詰まる。
胸いっぱいに空気を吸い込みたい。
そんな気分になった。

茂る草の上に寝転んだ記憶。
濃密な空気。晴れて暖かな陽射し。
そよぐ風の柔らかな感触。

今は何処で感じられるんだろう…

そのうち私たちは…
還る土さえ失うのかもしれない。

完全な回帰は不可能であっても、その慈しみ深きものに感謝を忘れちゃいけない。

愛と哀しみのボレロは、人と人だった。
人も動物も、何処から来て、何に育まれてきたのかを忘れちゃいけない。

家族みたいなもんなのにね…

壊して、汚して…
本当に手遅れになる前に。

何か小さくてもできること。
ほんの少しでも自分を変えること。

スコアは映画として。

でも、地球成分が足りてない人に、ぜひ見て欲しい作品でした🌏✨
an0nym0us

an0nym0us