ランドスケープデザイナーとして有名なメアリー・レイノルズをモデルに、実現困難な夢に立ち向かって、本当に実現させてしまうという王道サクセスストーリー。
映画としては、駆け足なストーリーと微妙なファンタジー、蛇足にも思えるロマンスが残念でした。でも…それを補って余りあるだけの、観る価値があったと思えた作品。
その最たるものが…映像美。
映像美というか…映し出される自然の美。
それには無条件に心を打たれた。
無意識に涙が溢れてしまった。
なんでなのか…とても心細くなった。
仲のいい友達と離ればなれにならなきゃいけなくなるみたいな…喪失感と先への不安。何よりも寂しさ。
太陽に背を向けて、人造の冷たい光の方へと歩いている感覚…振り返りたいのに、振り返れない。暗い方に進む事しかできない…何処に連れて行かれるんだろうって、朧げな恐怖。
子供の頃の写真。
お気に入りのワンピを着て、日焼けした肌の私が、兄から渡されたカブト虫を掴んで笑っていた。お転婆だったしなー…
…今じゃ触るなんて怖くて無理。
行事かな?土まみれで芋掘りをしてる姿。
今では土に触れたら、汚れたと感じる。
触れないほど汚したのは…自分たち。
何かを蔑ろにして生きてないか?
優先順位を間違ってしまってないか?
そんな自問自答が起きた。
なんだか無性に息が詰まる。
胸いっぱいに空気を吸い込みたい。
そんな気分になった。
茂る草の上に寝転んだ記憶。
濃密な空気。晴れて暖かな陽射し。
そよぐ風の柔らかな感触。
今は何処で感じられるんだろう…
そのうち私たちは…
還る土さえ失うのかもしれない。
完全な回帰は不可能であっても、その慈しみ深きものに感謝を忘れちゃいけない。
愛と哀しみのボレロは、人と人だった。
人も動物も、何処から来て、何に育まれてきたのかを忘れちゃいけない。
家族みたいなもんなのにね…
壊して、汚して…
本当に手遅れになる前に。
何か小さくてもできること。
ほんの少しでも自分を変えること。
スコアは映画として。
でも、地球成分が足りてない人に、ぜひ見て欲しい作品でした🌏✨