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波のした、土のうえのnagashingのレビュー・感想・評価

波のした、土のうえ(2014年製作の映画)
4.0
記憶と復興の間で引き裂かれる被災者の声が、被災地の風景に複層的なイメージを浮かび上がらせる。遺品の衣服をあつかう儀式のような所作に畏まり、生々しく首をもたげるショベルカーの不気味さとパワフルに土山を降らせるベルトコンベアの威圧感に慄く。モニター越しに映っていた犠牲者の往時の映像が、本編の一部に組み込まれる短い時間、隔たりがひとつ消失することで彼らの生が(そして死も)真に迫ってくる。語彙や文体が統一された瀬尾夏美の特徴的なテキストが、複数の声を代弁させるのに適当なのかは疑問。花のように降る雪は『河内山宗俊』に匹敵するレベルで儚く美しかった。
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