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マンチェスター・バイ・ザ・シーのこのレビュー・感想・評価

3.5
ケイシー・アフレックがアカデミー主演男優賞を受賞したという情報しか知らない状態で鑑賞。テアトル梅田にて。初日だってのもあるのかもしれないけど8〜9割ぐらい埋まっててびっくりした。客層的には30〜40代と映画の登場人物たちと同じ世代が集まった感じ。若い人もチラホラ。というかなんか、入り具合とか客層とかいちいち気になるようになってしまった。久しぶりにみっちり詰まった劇場で映画を観たんだけど、隣の人の鼻息とか聞こえてあ〜なんかこういう感じ!って思った。

で、本編。一言で言ってしまうとかなり重たかった…。こういう映画だったのね、という感じ。もちろん重いだけではなく笑えるシーンもあったのだけど、事前情報なしだったので不意打ち感がすごかった…。ケイシー・アフレック演じるリーが抱える「精算しようがない過去」の重さ。これ物語の根幹の部分だから言えないけど、そらあんな顔にも生活にもなるよな…。対する甥っ子パトリックの、突然不幸がやってきたにも関わらずリア充な生活をして謳歌する感じが、リアルというかまあそらそうだよねって感じ。だって生きてるんだし、死んだ人の時間はそこで止まってしまうけど生きてる限りは毎日がやってくるもんね。

こういう「自分ではどうしようもない過ちや過去とどう向き合って生きていくか」という物語に弱いので、思わぬ拾い物だったという感じ。人間ってそんな簡単に過去に踏ん切りつけられないし、はた目には踏ん切りつけたように見えても内側で絶対一生背負って生きていくしかないものだし…。観終わって映画館を出てから、街中を歩いたり帰りの電車の中で自身の物語として物思いにふけってしまう映画でした。

観終わってしばらくして、「なんかこれ『永い言い訳』と似てるかなー」と思いながら映画の公式サイト見てたら西川美和監督がコメントしてた。やはりという感じだった。
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