MARUKO

マンチェスター・バイ・ザ・シーのMARUKOのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

自分史上最高の作品に出会った。すごく感情移入してしまい、心苦しく揺さぶられた。リアルな会話の間が印象的だった。

リーの性格が故の苦しさ。兄が死んでもそこまで悲しむ様子は見せずに、淡々と葬儀や後見について話を進める。自分にはポーカーフェイスを保つが、実は壊れている心を隠して自分がしっかりしなきゃと必死になっているように見えた。それが余計に見ていてつらい。
そうして悩み苦しむ中での元妻とのあのシーン。いままで確信が持てずにいた心が壊れてること、元妻の言葉で確認できたのか救われる。ここにいると全部思い出してしまう。そして素直に“つらすぎる”。甥の充実した生活を見てきたから、自分の本心に気づけたからこその決断。完全ではないけど、少し心が軽くなった表情がなんともいえない。
リーの本心をところどころに感じる。子供たちの写真を大事にしまう。まだ夢にでる。あの時から彼の心にのし掛かっているものの大きさをうかがえた。(火事の前はお酒を飲んでもにこやか、喧嘩早いのもそれからか…)

文句の付け所がなく作りが丁寧で、ワンカットワンカットが雑誌の表紙のよう。素朴でリアルでこのストーリーの雰囲気にぴったりだった。心理描写がとにかく見事で細かくて、心をわしづかみされた。
ケイシーアフレックの喪失感に満ちた絶妙な表情も魅力的だった。そしてミシェルウィリアムズのあのシーンの破壊力。あの短い登場であの効果の大きさはすごすぎる。監督の彼女の使い方も贅沢だが最高だった。ルーカスヘッジスの演技も、リーとの掛け合いがとてもナチュラルでほんとに親戚っぽい。ホームビデオの一部をみているようだった。(アリの方がよかったかなー?。やっぱり今年のオスカーの結果には疑問を感じる)
長めな作品なので話が間延びしている印象も受ける人もいるかもしれないが、自分は悩む彼の様子が伝わったと思っている。実はテンポがよかったりもする。(感情移入していつの間にか引き込まれていた)

ムーンライトより正直こっち(白すぎるとかなかったらララランドと分けあっていただろう)。観ていて辛くなるようなヒューマンドラマだが、こういう映画で初めてもう一度観たいと思った。それほど脚本も映像も役者も全部よかった。とにかくよかった。観るものの心に寄り添い深く染み入る、感動する。名作、傑作とはこういう映画のことを言うのだろう。