なの

マンチェスター・バイ・ザ・シーのなののレビュー・感想・評価

4.5
主人公は常に鬱々とした感情を抱えて生きていて、兄の死によりそのきっかけとなる町に帰ってくる…。

普通の映画ならばここから何か気づきがあって好転して、というような形で話運びが行くが、今作はそう簡単にはいかない。

リーの事情はとても簡単に乗り越えられるものではないし、マンチェスター・バイ・ザ・シーという町は優しすぎる。それが余計にリーを傷つけてしまう。
何かが起きてしまった後に人の優しさが痛い、というような気持ちを経験したことがあれば、この点はよく理解できると思う。
また、妻との会話や細かな仕草でそれを表すケイシー・アフレックの演技も素晴らしかった。

そして、この作品の良さはそれを白黒はっきりつけることだけが全てではないと言ってくれているところだ。
乗り越える乗り越えないではなく、前向きにはなれるのだということを教えてくれる。
鑑賞後、優しい気持ちに包まれる映画だった。
なの

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