Maki

マンチェスター・バイ・ザ・シーのMakiのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

監督:ケネス・ロナーガン
公開:2017年
鑑賞:動画配信

「それは 壊れたわけじゃなく
 きっと何かが通り過ぎただけだ」

なぜだか恋愛モノと勘違いして観はじめた私が
違う!そうではないと気づいた頃にはもう心が
寒々としたマンチェスター・バイ・ザ・シーに
入り込んでいた。見事に絡め取られてしまった。
 
私が幼いころ雪国を転々としながら育ったのも
なにかしら影響しているのかもしれないと想う。
 
主人公リー・チャンドラーが抱える重過ぎる闇。
癒えることもなく軽くなることもない大きな傷。
個人的経験から正視したくないキツい絵が続く。

死してなおその存在の強さと愛を魅せるジョー。
その父を喪い狼狽と葛藤をばらまくパトリック。
育った街から逃げ今もひとを避けて暮らすリー。
その元夫から逃げ今は新たな家をもつランディ。
 
終盤。
街で再会するランディとリーの対話に
うたた寝してしまったリーが見る夢に
心を揺さぶられた。堪えられなかった。
 
だれもが精一杯だ。
だれもが溺れそうになりながら泳ぎ続けている。
つらく苦しんでも乗り越えようともがいている。
けれどどうしても乗り越えられないこともある。
 
ほんとうは責めたくなかったのに責めてしまい
謝りたかったのに謝る機会も相手もなくしたり
もっと話したかったずっと一緒にいる筈だった
もう逢えないひとに
もう二度と逢えないひとに
心残りがあればこの映画は何度もささるだろう。

「それは 失くしたわけじゃなく
 きっとだれかが通り過ぎただけだ」

現実はかなしいけれど
現実はやさしくもなる。


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ルーカス・ヘッジズ
ミシェル・ウィリアムズ
カイル・チャンドラー
役者さん みんなみんな好かったけれど
ケイシー・アフレックはもう抜群でした。
Maki

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