たつなみ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのたつなみのレビュー・感想・評価

4.0
仕事で落ち込んで不安な状態だったので癒しを求めて観てみたが、正直求めている様な内容では無かった。
でも映画としてはじんわりと染みてくる様な不思議な魅力のある作品だと思う。
ハッキリ言って物語は平坦で盛り上がる箇所は少なく、ひたすら淡々と進んでゆく。
それだけに人によっては何の面白みも感じない作品かもしれない。

主人公リーを始め、登場人物たちはそれぞれが心に負った傷を胸に秘めて日々を過ごしてゆく。
ケイシー・アフレックの溢れそうな感情を押し殺した演技がとても印象的。

結局のところ、心の傷は完全に癒える事はないのかもしれない。
それでも時は過ぎてゆく。
きっと人は心の痛みと向き合いながら生きて行く事しか出来ないのだろう。
でも傷を負った人と共に寄り添い合い、悲しみを分かち合う事くらいは出来るはずだ。
ほんの少しだけ、リーの人生は前に進んだと信じたい。

心に響くインパクトは薄いが、彼らの心情を感じながらゆったりとこの世界に浸ってゆく様な作品。
アホな映画もいいけど、たまにはこんなシブい作品も観なければ。