『スリー・ビルボード』の流れでみる。
安っぽい言い方だけど、文学のような印象を与える映像、作品だった。
印象に残ったのは静かな町の美しさと、田舎の人間関係の近さの二面性。
町を歩けば知人に会い、「○○の息子」「○○の弟」と呼ばれるような環境は、ある人にとっては閉塞感を持たせ、ある人にとってはかけがえのない町だと思わせる。
コミュニティの優しさと、残酷さ(過去の出来事を人びとは忘れていない)はこの町に特殊なものではないのだけど、美しい街並みと景色が、マンチェスター・バイ・ザ・シーという町を特別なものにしている。
主人公の衝動的な行動と対比するような、人々の感情を抑えたエピソードが積み上げられていき、町が生き物のように主人公を取り囲んでいく様子が、リアルだった。
主人公の孤独は、つらく寂しい。でも、帰郷で得たいくつもの善意と優しさが、これからの主人公を支えるのだろう。
新しい人生、次のステップを踏み出した女性たちの不安定さが描かれることで、主人公も苦しみと孤独を抱えて生きていくことが示されていたと思う。