omarushi

マンチェスター・バイ・ザ・シーのomarushiのレビュー・感想・評価

4.2
決して乗り越えることのできない悲しみを背負い、それを乗り越える事も諦めてしまったリー。父の病気を機に母と離れ、そして父の死により一人きりになり、リーと暮らすようになったフィリップ。

互いに口に出すことはなく、決して元どおりに修復できない心の傷を背負いながらそれに耐えようとする。愛する気持ちはあるのに、共にいることで辛い出来事の記憶に苦しめられる切なさ。そんな悲しみを抱えながら、それでも愛する人の幸せを願う気持ちに心打たれる。

ラストのリーとフィリップが並んで歩くシーンは、悲しみに耐え続けるのではなく、悲しみを抱えたままでも幸せを掴もうと光を求めて動き始める、清々しく、荒んだ心に灯がともるような温かさに包まれる素晴らしいラストシーンだった。
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