むーしゅ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのむーしゅのレビュー・感想・評価

2.6
 Casey Affleckの演技見たさに視聴。うん、刺さらなかった。

 ボストンで便利屋をしているリー・チャンドラーは、兄ジョーが心臓発作で亡くなったと連絡を受け、生まれ育った街「マンチェスター・バイ・ザ・シー」へ。故郷に帰ると兄の遺言にて16歳になる息子の後見人になることになり、避け続けていた故郷で生活することになる、という話。マンチェスター・バイ・ザ・シーといえばボストンちょい北の都市でシンギング・ビーチがあるところ。ちなみに人口は5,000人程度らしいです。景勝地というだけあってなかなか美しい街並みですが、漁村という特性もありさびれた雰囲気も。自然光を意識したのか全体的に彩度を下げてあり、ますますどんより感。内容にはばっちりですが、結構重いです。

 さてCasey Affleckの演技ですが、冒頭にも書きましたが正直刺さらなかったです。地元で皆に好かれている兄をなんとなく羨ましく思いつつも、不器用で短気。これ演技じゃなくてCasey Affleck本人じゃん。人気スターの兄Ben Affleckと顔は似ているのに、あまり人気が伸びず、出演作も多いのにあまり注目されず、そして短気。これCasey Affleckのこと指してますけど。まぁ最も本人は色々と世間へのゴシップ提供係なので、恐らくもっと素行は悪いんでしょう、というか派手なんでしょう。そういう意味では感情を抑える演技をしていたということなんですかね。こういった暗い役って感情の起伏がない分演技がなかなか難しい分野かと思うのですが、表面上の暗い中にも明るい希望が見えた気がする場合か、さらに深い闇が垣間見える場合か、そんなときに心を捕まれる気がするのですが、残念ながら捕まれずに見終えました。まぁこの年は主演男優賞の対抗馬も個人的にはう~むでしたが。

 さて意外とシーンとしては好きなものがいくつかあって、中でも死んだジョーに会うために、パトリックと初めて病院へ向かうところは良かったです。ついた瞬間お互いの意思がかみ合わず車を発進させてしまったり、霊安室を1秒で退出したり。16歳の少年では抱えきれない"父の死"というものに必死に対応しようとしている姿が結構好きでした。リーにとって一番近い血縁者はパトリックなんですもんね。遠慮交えた微妙な距離感がある二人。ってことで、Lucas Hedges良かったかも。

 まぁこういう映画は行間を読み取ることで、あるいは創作していくことで解釈も人それぞれに生まれていくものだと思いますし、それが面白味でもあると思うのですが、もうちょっと主人公の気持ちに変化は欲しかったかなとは思いました。元妻からの許しを受けても結果取り乱してしまい、彼の心の助けになったのかどうか、あまりわからない。良かったねとは思えないまでも、何か兆しだけは見たかったです。
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