後世に残る名作です!
まだご覧になっていない映画ファンの方には強く強くオススメします!
と言っても、私もずっと観るのを後回しにしていました。
「故郷に帰ってきた男の悲劇とは」みたいな宣伝。
正直、暗く地味な内容かと敬遠してきた。
でも、でも、向き合わなくちゃいけないって、
彼の苦しみに、人間として、映画ファンの一人として向き合わなくちゃいけないと、観終わったあと、深く思う。
こうやって書いていても、涙が出てくる。
これから観る人へ。
この映画の素晴らしいところを二つお話します。
まず一つは、構成の妙!
多くは語らないが、初見の人は、映像がどの時制かを考えながら見てほしい。
お恥ずかしいのだが、やや混乱してしまい、二度見をして確認をした。
二度見をし、この構成が実にじっくり仕組まれたものだと言う事がよくわかった。
二つ目は、ケイシーアフレックの一世一代の名演技。
この演技見せられると、画面の中でおいおい号泣する、させられる日本の俳優の演技なんて見ていられなくなるよ。
圧倒的な深い悲しみの遭遇した時に人はどうなるのか、
この演技だけを観るって、それで選んでもいいと思う。
ここからはネタバレ。
観た人との交流!
あの悲劇をどこで観客に示すのかって、そこが大切だけど、難しいよね、
本作はちょうど上映時間の真ん中に放り込む。
そのことによって、
前半は、「この男、どうしてこうなのかな」て、「何があったんだ?」て、観客が探るように見入る。
そして、あのことを知ってからは、
彼と甥っ子のパトリックとの関係が全く別の視点で見えてくる。
そこに、死んだ兄の強い意志というか、
あの辛い事件を一生背負ってしまった弟への思いが、あの遺言に詰まっていることを知る。
引っ越した傷心【こんな言葉じゃ語れない悲しみ】が覆いかぶさった弟に、兄は
「家具を揃えろ」とソファーを買う。
それがリーの口から発せられ、また大号泣!
奥さんとの再会シーンと、痛くて、哀しくて、涙、涙!
人が絶対的悲しみに向き合わなければならない時、どうするんだろう。
彼は言葉少なく、
「辛すぎる」「乗り越えられない」て言う。小さな弱々しい声で。
良い映画は語っても語っても、語りつくせないね。
2017年は、「ララランド」「ダンケルク」「沈黙」と、障害級の名作が並んだけど、
これも劇場で観ていたら、ここに入ってくるような、本当に静かな大名作です!