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マンチェスター・バイ・ザ・シーのnutakiのレビュー・感想・評価

4.1
主役のケイシー・アフレックが主演男優賞受賞!そのアカデミー授賞式で、プレゼンターのブリー・ラーソンが拍手しなかった事が引っかかり、事情を知って成る程ねぇ~と思ったものだ。
まぁ、兄弟揃って才能豊かだけど、私生活はお騒がせマンね。
で、この作品は多分好みでなさそう、とスルーしてたけど。
良かったです!
ケイシー、これはオスカー納得。
大袈裟な演技はないけど、それがかえって泣ける。
心の痛みがひしひしとじんわりと伝わって、胸が熱くなった。
ただ、短気過ぎて、ちょっと行動に同情出来ない部分も。
バーで無関係なオジサンを殴るのはダメだわ。
巻き添えで気の毒。
実在の街が舞台なのもリアルで良いね。
どんよりとした天気で、空も海も色が薄い。
水墨画みたい。心の中の様に。

ストーリー展開は良くあるパターンで、現在のシーンにチョコチョコと過去のシーンを入れ、だんだんと事情が分かっていく、という作り。
中盤でそれが全て明かされる。
正直、その事実も現在の気持ちも辛過ぎて、ちょっとインターバルを取りたくなった。
映画館では無理だけど、これが自宅の良いところ。
休憩が必要だった。
多分、あまりにも其々の人に感情移入していて、その誰もが辛いという状況で、観るのが耐えられない感じに、感情が満杯になったとでもいうか。
はい、ティータイム。

リーを演じるケイシー・アフレック。
イケメンだけどあまり特徴のないタイプで、ごく普通な感じがかえって良かったかも。
マットよりは絶対良かったと思う。
演技は静かな中に熱く、優しさや迷い・苦悩が良く表れていて、バカだなあとか思いつつも、人間的な魅力に満ちていた。
でも、過去の出来事はやはりとても罪深く、一生背負うべきものであるのは否めないよ。
妻役はミシェル・ウィリアムズ。
最近、出過ぎというか、あらまた、という感じもするが、やはり、こういう薄幸な妻役が上手い。
再会のシーンにはヤラれた。泣けた。
圧倒的な演技でした。
兄ジョー役をカイル・チャンドラー。
出番は少ないし、時に印象もないが、このジョーの存在・弟に対する気持ちが、亡くなった後で常に感じる。
その辺りの脚本のうまさ!
ジョーはどう考えてそうしたのか?とか引っ越し後に来た時のことやら思い出し、時にリーのことを兄目線で観ている自分に気がつくのだ。
ジョーの息子パトリックをルーカス・ヘッジス。
アカデミーにノミネートされただけあって、好演だった。
複雑な心情やイライラした気持ち、父への想い。
最後のシーンまで、リアリティーのある演技だ。
ジョーの元妻でパトリックの母をグレッチェン・モル。
ドラマ『ボードウィーク・エンパイア』の演技が凄かったのが印象的。
強い女、精神的におかしくなってる女、息子を溺愛する母の役で、今作でも共通点があった。

休憩後の後半は、更に辛かったが、先を知りたくて仕方なかった。
どうなるの?と釘付けに。
そして着地点が、救われた。
ボールを投げ合う何気ないシーン。
新しい住居についての何気ない会話とその優しい口調。
号泣ではないが、鼻の奥がツーンとしてずっと痛かった。
私生活で色々あったとしても、これはオスカーで拍手してあげようよ!
といまさら言いたくなったよ。