せ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのせのレビュー・感想・評価

4.3
2023年 91本目

心の傷を残したまま、そのままで、
生きていく。



久しぶりに鑑賞。
これ、何回もみるやつ私以外いる?!


常に暗くて辛くて天気悪いんだけど、残酷すぎる運命を背負う主人公、そしてケイシーアフレックの演技が大好きで傷心気味の時はこれが観たくなる。私には暗い時は暗いものが心には良い。

主人公リーは水道管の修理などで生計を立てる便利屋。アメリカのボストンで暮らしている。
ある日闘病中だった兄が他界。
兄には息子が一人いるが、遺言でリーは後見人に。一時的に故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ることになるが、そこは耐え難い辛い過去を思い出させる場所であることがわかる。リーがなぜ今こんなにもぶっきらぼうなのか理由が判明していく。
最終的には「ここにいることは、耐えられない」と判断し、知人に甥を養子として預けて終話。

人は皆過去の心の傷と共に生き、そして必ずそれを乗り越える必要はないということを教えてくれる作品だと思う。

冬のマンチェスター・バイ・ザ・シーの曇り空とひんやりとした空気感、登場人物のそれぞれの葛藤。重くて暗い作品だけど私は好き。人の弱さをカッコつけずにそのまま、ありのまま表現してくれるからね。

これでアカデミー主演男優賞をとったケイシーアフレックはもちろんリーの元嫁を演じるミシェルウィリアムズの演技もとても良かった。

自分の過失で家を火事にし
妻のぞく、まだ小さい子供3人をあの世送りにしてしまったリーは自殺を試みるほど苦しみ、笑顔も何もかも失った。その全てを思い出す故郷に戻り住み続けるなんて。ほんと無理しないでほしい。甥も大切だけどだからってあなたの心を放棄しなくちゃいけないなんてことない。リーを抱きしめたくなるよ〜。

甥はまだ子供でリーの気持ちはそこまで察してなさそうなんだけど唯一の家族といってもいい父親が亡くなってパニックを起こしたり、事故当時、リーを責めまくったリーの元嫁の後悔、みんな辛い。歪な形の人同士の繋がりが生々しい。

以下なぜか死体について書きまくってる過去レビュー感想↓

どちゃくそ面白いという映画ではありません。しかし、良い映画でした。


死体を見ることは不思議な気持ちにさせます。
初めてまともに見たのは2年前ほどでしたが、冷静に、動物の剥製みたいだなぁ。という印象だったのを覚えています。でもめちゃくちゃ悲しいのは確かで、死体は二度とみたくないし、演技でもダメ。あれはダメだ。
だから最初からずっと涙を流しながら観てしまった。映画ヘレディタリーの終盤に出てきたよくわからんプルーンみたいな肌の、リヘナラドールみたいな、黒くて裸の人間出てきたけど、まさにあんな質感。あれを表現したのはさすがアリアスターさんだな、と思う。彼も兄弟を亡くされていて、死を見つめた人が表現できるものなんだなぁと思います。この作品と関係ないのにまたアリアスターのこと話してる笑笑

この映画、
何気ない会話がおもしろいんですよ!普通に日常的な会話を撮ってくれているので、重い話なのに、フフ。と笑えるところもいくつか。

リーとパトリックの間柄って父子、というより、親友に近いですよね。なんでも言えるし、汚い言葉も使えるし。男性同士ってそんなもんなのかな。見てて微笑ましかった。
最初リーを見た時、なにこの無愛想なやつ!て思ったけどそれには深い理由があり、そうなる前は家族を愛するごく普通の父親だったのだ、、、
人の性格とかって、必ずそうなった背景っていうのがあるんだなと。

リーの場合、それが想像を絶するものだった、、、そりゃ心も閉ざすわ。
せ