けまろう

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』鑑賞。一発ビジネスで当ててやろうと奔走するレイが、マクドナルド兄弟のハンバーガー生産システムに感銘を受け、自ら投資をしながら今のマクドナルドを確立していく話。但し、それは決して成功譚として美的に描かれているわけではなく、マクドナルド兄弟の店を「侵略」する欲の深さにフォーカスが当てられていた。そういう観点で、ハンバーガー「帝国」とはなかなか妙な副題であろう。
そうした欲深さの権化であるレイは、マクドナルド兄弟のビジネスを奪うだけではなく、長年連れ添った自分の妻を捨て他人から妻を奪うという愚行にも出る。その所謂「ギラつき」は、レイの人間性を語ると同時に、人間(ひいては資本主義)そのものの欲の構造を露わにしているようでもある。そうした欲の肥大化が、マクドナルド兄弟の店の前にマクドナルドの100号店を出店するという、(他人の妻を寝取ったような)店の「寝取り」をPRするかのような底意地の悪さにつながっていくのだ。
掠奪とは古来より続く人間の本能であり、それが現代社会にも通じるものであるとこの作品は教えてくれる。そうした欲の性はレイの身に顕現し、レイはおよそ知略とは呼べない手法で動物のようにマクドナルド兄弟の「領土」を奪っていったのだった。
レイの起用を「鶏の檻に狼を入れたようなものだ」とコメントしたマクドナルド兄弟の言葉が本質をついている。
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