るる

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツのるるのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

えげつない話のはずなのに、不思議とノれた。極力ストレスを廃した脚本と思った。主人公のキャラクターに似た人物を知ってるから、共感というか、応援しやすかったのかも。

兄弟がとにかく魅力的で。

でも、フランチャイズ展開に同意しておきながら、他店の様子を見にいく気配のないマクドナルド兄弟に呆れる気持ちがあったから…実際どうだったんだろう。この描写があるかないかで個人的には、だいぶ印象が変わった気がする。あの顛末、自業自得とは思わないが、ビジネスってそういうものだろとも思って。しかし、都会と田舎のビジネスの違いの話と思えば…アメリカって広すぎるよね、難しいよね、と同情したい気持ちに。複雑、

しかし、レイ・クロックは一応、兄弟に対して仁義は切ったのではないか…と思って。でも、入院中の兄のもとを訪れて白紙の小切手を置いていく、入院費もかかるだろうと思わせる、このへんが手打ちだ、と思わせる、脚本が絶妙で、実際は相当ストレスがかかることの連続だろうなと思って。うーん。紳士協定は守られなかった、そうでしょうね…彼は紳士じゃない…

兄弟視点の映画も見たい、かな。兄弟はその後どんな気持ちで…うん…

魅力的な悪役といえば、この上なく。しかし…わりとどの登場人物にも感情移入できたので面白かったな…おじさんの野心と悲哀は嫌いじゃなかった…レストランオーナーとピアニスト夫婦の描かれなかった離婚劇にはヒエェと思ったけど。最後の、実際の映像、このおっさんはきついわ、と思わされたけど。

実話を漂白してるかといえば、そんなこともなく。絶妙な塩梅だと思った。

フランチャイズ加盟店をファミリーと謳いつつ、妻を疎かにする男…でもそこにそんなに重きを置いてない脚本と演出が見事な采配だと思った、感傷よりも…なんだろうね、この感覚は。社交界に憧れてたのであろう妻はどうなったんだろ…彼女にも同情するけど、慎ましやかで上品な彼女はパワフルな彼のパートナーにはなりきれなかったんだろうなと…でも慎ましやかで上品では、あの豪華な生活はできなかったでしょうよ…彼と一緒にパワフルに働いてほしい気持ちが湧いたよね、やっぱり…いや充分すぎるほど支えてたんだと思うけど…彼が勝手すぎたんだと思うけど…

BJ・ノヴァク、どこで見たんだっけ…と思ったらドラマ『ニュースルーム』のいけすかないけど敏腕なIT社長だった。騙されてるんじゃ?と一瞬思ったけど、そんなことはなく。

なんだろうなあ、出会いってすごいよな…

商才と野心の戦い、才能よりも執念の勝利だと思ったけど…マクドナルド兄弟の物語も充分、数奇な成功譚で…それを上回る物語が淡々と展開されて…いや興味深かった。

マクドナルド兄弟の店を乗っ取った、という話は大昔にwikipediaで読んでぼんやり知ってたんだけど、こうしてさっぱりと整理整頓して見せられると思っていなくて、いや…すごい。

わりと好きな映画でした。でもあんまり他人には言いにくいかも。そんな映画。
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