ひろパパ

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツのひろパパのレビュー・感想・評価

3.6
U-NEXTにて。今や世界中ないところがなく、数多のハンバーガーショップが乱立する今日においても、ハンバーガーの代名詞となっているマクドナルド。そんなハンバーガー帝国も、最初はカリフォルニア州の小さなハンバーガー屋だった。

マクドナルド兄弟が独自に開発した、超効率的な「スピーディー・システム」で地元の人気店になっていたハンバーガーショップを、1954年、シェークミキサーのセールスマンだったレイ・クロックが訪れたことからマクドナルド帝国の物語は始まる。その革新的なシステムに魅せられたレイは、これをアメリカ全土でフランチャイズ展開することを兄弟に提案し、地元の客にただ出来たての美味しいハンバーガーを提供したいだけの兄弟は戸惑いつつも、レイと契約を交わす。「執念」を信条に拡大に突き進むレイは気づけば「マクドナルド・コーポレーション」の創立者(ファウンダー)となり、マクドナルドを乗っ取られた兄弟は最終的に自分たちの店をマクドナルドと名乗ることすらできなくなってしまう。こうしてみると、マクドナルドの成長の歴史は、そのまま戦後の大量消費社会と資本主義の拡大の歴史とも言えるだろう。そこでは効率化、標準化による大量生産が至上の価値とされ、それによる便益も確かに享受されたものの、食品安全や健康被害、環境破壊など、資本主義の行き過ぎの影響とも言える問題が表面化し、それに伴って社会の価値観が確実に変化している現在から見ると、マクドナルドの「貪欲な」拡大の歴史には複雑な思いが残る。

セールスマンの頃からいかにもアメリカ的な成功法則のレコードを聴き、「執念」と「覚悟」を信条に、自らの利益のためには迷わず弱い者を蹴落とす(と少なくともこの映画で描かれている)レイが言う「成功」に、何だか寂しい空虚さを感じてしまった。
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