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ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命のDONのレビュー・感想・評価

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平板で起伏に欠ける脚本ではあるが、演出と俳優は力強い。とりわけ、熱心なナチス信奉者であるベルリン動物園園長を演じたダニエル・ブリュールの、残酷さと優しさがひとりの人間のなかに平然と両立していることは、ナチスの矛盾とグロテスクそのものを体現しているように思える。

匿われたユダヤ人たちが部屋の壁に描く絵は、まるで洞窟壁画のようだ。人であることを剥奪された彼らが、先史の時代から続く芸術を通じて抵抗し、我々に訴えかけてくる。芸術とは人間が人間であるためのものであり、そこにこそ尊厳は宿るのだと。