小

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命の小のレビュー・感想・評価

4.0
公式サイトにはユダヤ人300人を動物園に匿ったとあるから、そんなたくさんな人数でよく見つからなかったなあ、どうやったのだろうと思ったけれど、延べ人数なのですね。

それはさておき、第2次世界大戦、ドイツが侵攻したポーランド・ワルシャワで、自らの命の危険を顧みずユダヤ人を救った動物園の園長夫妻の実話に基づく物語。動物園に匿うと決めたのは夫のヤンの方だけど、主人公は妻のアントニーナ。この物語のテーマが女性から見た戦争ということだからだと思う。

攻めと守り、能動的と受動的。現代はともかく、戦時中は攻め・能動的な行動は男性が、守り・受動的な行動は女性が受け持つことが多い。そして男性が戦場でドンパチを繰り広げる映画はいくらでも思い浮かぶけれど、守り、帰りを待つ女性の戦いや気持ちに焦点を当てた映画は多くない気がする(自分が見ていないだけかもしれないが)。

物語として面白く、わかりやいのは攻め・能動的の方だからだと思う。しかし、動きや言葉の少ない演技の方が難しいように、守る、待つ、じっと耐えることの方が人間の気持ちにおいては大変なことなのではないか--。本作はこのことを味わう映画。

外に出てユダヤ人を連れてくるのは夫、ドイツ兵に見つからないように彼らを匿うのは妻。能動的な立場の苦労はわかりやすいけれど、受動的な立場の苦労は理解されにくく、夫の無理解から夫妻の関係はギクシャクしてくるけどやがて…。

妻の視点に立っているから戦闘シーンは多くない。それよりも守る立場の戦いがドラマチックに描かれる。女性は共感し、男性はちょっとチクリとする。そんな感じの映画じゃないかと。

●物語(50%×4.0):2.00
・オジサンもたまにはこういうのを見て想像力を鍛えなければ。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・アントニーナのあの方は女神の方なんですね。ムツゴロウさんみたいな動物好きな人なのかと思ってしまった。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・きれいに美しい感じかな。
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