回想シーンでご飯3杯いける

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.7
第二次世界大戦当初、ゲットー(強制居住区域)のユダヤ人を次々と救出し、ポーランドのワルシャワ動物園に匿った、勇気ある夫婦の姿を描いた実話小説「The Zookeeper's Wife」を映画化。

「女神の見えざる手」も良かったジェシカ・チャステインが動物園内を自転車で颯爽と掛けながら動物たちと触れ合っていくオープニングから、ドイツ軍による空襲、そして惨殺される動物達。この冒頭の流れが、平和と戦争の落差を強烈に描いており、とても秀逸だ。

本作でドイツ軍を象徴する存在として登場するのは、将校としてホロコーストの指揮を執りながら、動物学者として絶滅危惧種の繁殖に熱心なヘックだ。ユダヤ人は皆殺しにするが、希少種の牛の繁殖には熱心というその構図が、ホロコーストの狂気の構図を上手く描いている(もっと狂気的に描いて欲しかった)。

動物園を経営する夫婦が、特殊な立場を利用してユダヤ人を救出するストーリーは「シンドラーのリスト」に近いものの、登場するユダヤ人の人数が少ない事もあり、中盤以降はやや地味に感じてしまう。これはそもそもの史実に従った故の結果であり、致し方ない部分でもあるだろう。ジェシカ・チャステインと動物達による生命観溢れる演技は、他のホロコースト作品では観られない類の物なので、一見の価値がある。