オカルトチャンピオン

菊とギロチンのオカルトチャンピオンのネタバレレビュー・内容・結末

菊とギロチン(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

これはなかなかテーマ的にも取り上げづらいであろう大正時代の国家、政権に対して闘っていた人々を描いた189分の力作だった。

土俵に女を上げたらダメという、もはや現代人に洗脳されている価値観があるけど、江戸時代から昭和30年代まで女相撲という興行が日本に存在していたなんて、無知とはおそろしい。

現代の問題としても連綿と続く女性の自力の象徴的な存在として女相撲があるわけだけど、彼女たちは一人一人事情は違うけれど、自分の境遇から逃げてきた女性だった。
特に見ていてきつかったのは、関東大震災の際、デマのせいで朝鮮人に対する差別や拷問、殺害があり、なんとか逃げてきた十勝川関に対して向けられる憎悪と暴力が見てられなかった。ひどすぎる。こんなことあっていいわけがないのに、必ず日本では災害が起きるとこのような差別発言が出てくることに深い怒りが湧いてくる。

主人公の花菊も嫁いだ男から暴力とレイプまがいの暴力を日常的に受けている。
こんな狂った時代をもっと日本人は知るべきだ。もう繰り返してはいけないと深く思う。
作中で印象的なのは、捜索願いが出て警察に連れていかれる小桜が警察に帰ったら旦那にちゃんと頭下げろよって言われて、頭なんて下げないし、出てくるときに家に火をつければよかったって言ったときに、この非国民がーと言われて、"上等だよ、非国民!"って叫ぶシーン。
あとは十勝川関に元軍人が天皇万歳を強要するシーン。
きつい、きつすぎる。

ギロチン社の人々は理想はあっただろうけど、全然上手くいかない。
彼らの理想はわかるし、時より響く言葉はあるけど、やっぱり女相撲の力士たちより子供っぽい絵空事に見えてしまう。
アナーキズムはわかるけど、彼らが暴力以外の革命を考え抜いていたとは思えない。

歴史はいいときもあれば、悪いときもある。
悪いことは隠さず繰り返さないようにしなければいけない。
今がいいとは全く思わないし、問題は更に複雑に絡み合っているけど、私たちは学習しなければまたすぐにこんな時代になっていくような気がする。っていう感想。