TaichiShiraishi

菊とギロチンのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

菊とギロチン(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

大災害の後の不寛容な時代の話って意味で現代にも通じる青春群像劇。

ギロチン社も女相撲も知らなかったけど、理想を掲げながら日々を無為に過ごしてしまう男たちと、現実に気丈に立ち向かうも家父長制社会に飲み込まれてしまう女たちの姿は現代人が見ても共感できる。
キャストはみんな絶妙に昔の匂いがする顔の人ばかりで演技も素晴らしかったし、大杉栄や、正力松太郎などの有名人の登場でもおおってなるし、三時間目が話せなかった。

女たちやアナーキストや少数民族ら、当時の弱者たちだけに寄り添った目線だけじゃなく、シベリア出兵した在郷軍人たちの暴走の裏側にある苦悩なども描かれていたのも興味深い。


強くなりたいっていうセリフが何回も出てくるけど、じゃあ強さとは何か?相撲で勝つこと?花菊の旦那みたいに力で女を黙らせること?在郷軍人会みたいに朝鮮人を弾圧すること?ギロチン社みたいに敵対者を暗殺すること?大さんや鐡みたいに爆弾を作れること?

逆に弱さってなんだろう、旦那に逆らえないこと?身体を売って生きるしかないこと?虐殺されてしまうこと?要人を暗殺できないこと?権力に負けて好きなことができないこと?権力に殺されてしまうこと?

この映画でははっきり答えはないけど、でも譲れないくらい打ち込めるものがあること、変わらない信念があること、自分たちの非を認められること、が強さかなと思って見てた。あと、極限状態でデマに流されちゃうのははっきり弱さだよね。


ラストとエンドロールの登場人物たちの顛末は切ないけど、彼らの犠牲の上にできた自由な社会なんだから頑張って維持していかなければならない。