KeiRalph

菊とギロチンのKeiRalphのレビュー・感想・評価

菊とギロチン(2016年製作の映画)
3.6
大正デモクラシーの時代を抗う者たちの闘争と青春の記録。3時間の超大作であるとこをチケット買った後に気付き、それなりに覚悟をもって臨みました。

しかし東出君、あんな演技もできるようになったんやなぁ…と、何様目線と言われようが目を細めました。あとはなんつっても女相撲。当時の風景を知る術は無いですが、男子のプロレスより歴史が古いと言われる女子プロレスの起源と考えれば、大変に貴重な再現度では無いでしょうか。何より力士の取り組みの演出に嘘っぽさが無いのが素晴らしい。親方役の渋川さん、パンク侍に続く適役でした。

そして女相撲と類をなし、最も鮮烈な印象を与えるべきアナキスト集団のギロチン社…なんですが、思ったほどその思想や生き様について浮き彫りになっていなかった様に感じるのは私だけか。身体表現を主とする女相撲より分かりにくいとはいえ、なんかもうちょっとツッパリ具合が前面に出て欲しかったです。

ストーリーの展開も、3時間の長尺の割に駆け足感が強い。史実通りなのかどうか分かりませんが、一日のうちに起こる出来事が怒涛過ぎて、エピソードのいちいちを噛みしめる事が出来ませんでした。

あとギロチン社の必殺技であろう爆弾の扱い!ボカーン!と爆発するたびに失笑してしまった…

女性という立場の蔑視の象徴である女相撲が、権力の象徴である警察に真っ向から立ち向かうラストシーンは今に通じるメッセージと受け止めました。この調子で全日本女子プロレス黎明期を映画化してくれんかな。
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