キンタロー雨

菊とギロチンのキンタロー雨のレビュー・感想・評価

菊とギロチン(2016年製作の映画)
4.4
大正末期、関東大震災直後の時代。
各地を巡業する女相撲一座のひとり、花菊。
暴力的な夫から逃げてきた花菊は、
強くなること、変わることを願う。
一方、日本社会の転覆を狙うギロチン社。
中濱や古田などの青年たちは、
自由で平等な社会の実現を願う。
しかしますます強まる軍部の取り締まりは、
ギロチン社のみならず女相撲にまで影響が及ぶ。
自由に生きる彼らの夢は叶わないのか。

実在したギロチン社のメンバーに、
実在した女相撲を合わせたフィクションという。
ギロチン社のメンバーひとりひとりが、
またなんとも味があり、個性的で、愛らしい。
井浦新や山中崇らを始め、
俳優陣の底力に感動し、そして誇らしい。

今の時代も言えたことじゃないが、
正しさや義理堅さよりも、
服従しているか否かで判断される時代。
自由に生きることも、自由な社会を作ることも、
虚しい言葉だけに終わるのかもしれない。
それでも自分の信念のために、
強くなろうとしたり、変えようとする生き方を、
無意味だったなんて言い切れない。
その時代には確かに、
自分の信念のために闘った人たちがいたのだ。

太鼓に、掛け声、踊りに、歌に。
大林宣彦監督の『花筐』とはまた異なる、
生命力、躍動感に溢れた作品。
東出昌大の嬉々たる表情や朗読も素晴らしい。
189分の壁に躊躇わず観て良かった。