みーちゃん

ウインド・リバーのみーちゃんのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.0
雪山に囲まれた白い大地、どこまでも広がる極寒の厳しさが、心象風景のよう。この環境は、人から笑顔を奪い、沈黙させる。生きるためには自己防衛するしかない…。それが、彼らの置かれた立場や状況と重なり、何も説明しなくても伝わってくる。

それだけにテイラー・シェリダンの脚本に対して思うことが二つあった。
一つ目は主人公コリーのセリフ。わざわざ言わせなくていいのに。むしろ言わない方が伝わるのに。と感じる重要な場面がいくつかあった。ジェレミー・レナーが言葉を超えた演技で魅せるからこそ、なおさら違和感があった。

二つ目は物語の鍵となる宿舎での出来事。私はあの事件の直接的な描写は無いほうが良いと思う。それは単に見たくないから!ではなく。そりゃあ、目を背けたし、辛い涙が出たけど、そんな理由じゃなくて。

ナタリーが、あの人達と遭遇してしまった瞬間、最低最悪な展開になるのは容易に予想がつく。で、それ以上でも以下でもなく、全く予想通りだった。なら、わざわざ見せなくていい。むしろ見せない方が伝わる。あのシーンを描くなら、嫌な予感をさせるカットから、次は彼女が"心を残したまま"現場を後にするカットにジャンプした方がずっといい。事の顛末、行き場のない怒りや悲しみ、悼みのような感情がより際立つと思う。

(観る価値のある、ズシンとくる作品だからこそ、引っ掛かった点もちゃんと書くことにしました)

エリザベス・オルセンも良かった。ジェレミー・レナーと一緒だと更に魅力が引き立つ。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、この二人は、ちょっとした化学反応が起きたくらいに感動的な組み合わせだった。