ひでやん

ウインド・リバーのひでやんのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.6
いつまでも消えぬ心の傷と、どこまでも続く白の情景。

雪深いネイティブ・アメリカンの保留地で少女の遺体が発見され、FBIから派遣された女性捜査官に地元のハンターが協力する形で捜査が始まる。雪原に裸足の凍死体、彼女はいったい何から逃げ、どこから走ってきたのか。謎の多い事件に冒頭から引き込まれた。

真相に辿り着くまでの道のりはシンプルで、難解な謎解きもなければミスリードによるどんでん返しもない。サスペンスとしては物足りない印象だが、今作の重要な点は捜査ではなく、捜査の過程で見えてくるアメリカ社会の闇。

雪と静寂しかない厳寒の地に追いやられた先住民。彼らの残酷な現状を少しだけ知る事ができ、それだけでも観る価値があった。家畜を荒らす害獣は駆除されるが、欲深い人間の悪行は広大な土地に埋もれる。ラストのテロップが衝撃だった。

ノックされたドアが過去への扉となり、事件の真相が明かされるが、とにかく胸糞悪い。そこで覚えた不快感は激しい銃撃戦で緊迫感に変わり、最後はスカッとさせてくれた。撃たれて後ろにぶっ飛ぶ衝撃が凄まじかった。

ナタリーの父との会話、ラストのジェーンとの会話が印象的だった。
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