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ウインド・リバーのtakumiのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.7
試写会が当たったので一足先に観てきました。とても好きなタイプの作品でした。

アメリカ先住民居留地(ウインドリバー)を舞台に、地元のハンターとFBIの女性捜査官が少女殺しの事件を追うクライムサスペンス。

ネイティブアメリカンが抱える問題、正直考えたこともなかったので、かなり心にグサッと来ました。たくさん印象的なセリフやシーンがあるんですが、冒頭のアメリカの逆さ国旗が全てを表してるのかな、と。

こういった社会問題を全面に押し出し過ぎない脚本、演出も良かったと思います。ハンターの復讐劇としての様相もあり、脚本自体にも無駄がないし、銃撃戦などの緩急も程よかったです。観ててかなりキツイレイプの回想シーンへの流れも上手かったです。雪景色が延々と広がる大自然の映像、低音が印象的な音楽など、暗く重苦しい作品の雰囲気もとても好みでした。

ジェレミー・レナーの演技も最高でした。娘を失った悲しみを感じさせるし、もちろん渋くてカッコいい。エリザベス・オルセンとの程よい距離感の関係性はまんまアベンジャーズだけどすごく良かったです。もちろんエリザベス・オルセンは可愛かったですけど、着替えシーンは監督の趣味かな?(笑)そしてバーンサル氏、いいヤツでした… 今作でもパニッシャー並みの戦闘能力だったらなぁと思えてならないです。

あと、これは個人的な好みなんですが、この作品の銃撃戦はなかなか良かったです。派手ではないけど、防弾ベスト着た多人数同士の至近距離での撃ち合い、なかなか即死にならないあたりが新鮮でした。エリザベス・オルセンのリロードが結構早くて感心したし、ジェレミー・レナーが使ってるレバーアクションライフルがジュラシックワールドでクリス・プラットが使っていたやつというのも好き。

かなり重いし胸糞悪いシーンもありますが、ラストはある意味希望があるような終わり方なので、僕みたいにバッドエンド苦手派の方でもまあ大丈夫かな。ジェレミー・レナーが弓矢を使わないこと意外は個人的にほぼ100点な映画でした(笑) 静かな緊迫感に圧倒される107分間、ぜひとも劇場で。

追記
パンフレットを買いました。薄めですが、インタビューにコラム、ネイティブアメリカンに関する用語の解説など充実した内容でした。買って損はないと思います。
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