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ウインド・リバーのrollinのネタバレレビュー・内容・結末

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

すげぇ映画を観た。

とりあえず落ち着け、おれ。
暫定今年一番心臓に悪い映画で、今年一番の胸クソシーンからの今年一番の溜飲下げ。
これがジェレミー・レナーのホークアイたる所以。かっけぇ‥。IW欠席の憂さ晴らしどころか、まんまと突き抜けてしまっとるやないか。

流石『ボーダーライン』の脚本家だけあって、テーマの抽出は見事。
これは“縄張り”の映画だった。
『ヘイトフル・エイト』でもお馴染みの豪雪地帯、ワイオミング州の先住民保留地や、“POLICE LINE DO NOT CROSS”の規制線、石油掘削所の私有地が意味する土地としての縄張り。
FBIや保留地保安官、猛獣ハンターといったプロ職人が、お互いの領分を牽制し合う縄張り。この多義多重な縄張り意識が浮かび上がらせるのは、アメリカという国が潜在的に内包し、蔑ろにして来たある問題。
そしてそんなボーダーラインを飄々とマタギ、ある種無慈悲な狩人として活躍する主人公の、属するあてのない孤独、壊れたヒロイックさが哀しい。勢い余って失言しちゃう系女子代表のエリザベス・オルセンを現場のトップに配置したのは面白いね。てかあのダメなアニキ、マグニフィセント・セブンのレッドハーベストやん!

雪原の白いキャンバスと赤いしみ。
馬の代役、スノーモービルの爆走(最高)。
寄りのカットの応酬の最後に、引きで一発、大自然の画を入れるヌケの良さ。もしロジャー・ディーキンスが撮影したら‥という妄想も捗る。トレーラーハウスのドア開けるドッキリを2回もやるなんて人が悪いっ笑(エリザベス・オルセンの成長のなさが良い)
アンガールズのネタみたいな生々しいスタンドオフ(ジャンガ×2スタンドオフ)も最高!

満を持してジョン・バーンサルが出て来た時の「コイツ、やばい奴や‥」な見せ方は巧い。そんな奴がチビのデコッパゲ野郎及びモブマッチョ軍団にフルボッコにされるというもっとイヤ〜な展開は、『薄氷の殺人』で、捕まえた犯人に銃を奪われて警察が殺されるシーンを思い出して大好物でした。でもあれだって彼女を招き入れたバーンサルが、警備員同士の縄張りを侵したとも言える。

あと弾薬工房シーンの撮り方の拘りっぷりとかたまらんやん!テイラー・シェリダン、あんたも好っきゃのう。
白銀に映えるステンレス・スチール製ルガー・スーパーブラックホーク!『ジュラシック・ワールド』のクリス・プラット然り、マーベル御用達マーリン1895SBL(レバー・アクション)のトレイルガンとしての有能っぷり!!ジェレミー・レナー、あんたマジハンターだよ!

テンポも良けりゃ、テーマのスライドの仕方も心地良い。まんまと作り手の思惑通りにヤラレました。ピューマの唸り声がルイ・アームストロングみたいやったのはかわいかった。鬼畜デコッパゲ野郎の最期はキルビルvol.2の五点掌爆心拳で最高!
ラストで顔面に死化粧を施したお父さんを観た時は、『気狂いピエロ』みたいなダイナマイトENDか!?と少し期待したけど笑

こういう作品に出会うために映画を観てる。
それにしてもエリザベス・オルセン‥既に食い込んでるギャグとかウケたな。あと極悪散弾銃・ベネリに撃たれて生き長らえたのは、正直防弾ベストを着用していたからではなく、防弾おっぱいのおかげ!と思ったのは、僕だけではあるまい。
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