ノラネコの呑んで観るシネマ

ウインド・リバーのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.5
これは見応えたっぷりのヘビーなクライム・スリラー。
凍てつくワイオミングの雪原で、レイプされた少女の遺体が見つかる。
第一発見者のジェレミー・レナー演じるハンターは、土地勘のないエリザベス・オルセンのFBI捜査官に協力して、犯人を追うことになる。
タイトルは州中央部に位置するウィンド・リバー居留地のこと。
北アラパホ族と東ショショーニ族の共同居留地という背景が、物語をぐっとディープなものにしている。
ジェレミーはアラパホの女性と結婚していた設定で、彼の過去の傷も事件とリンクしてくる凝った構造。
アラパホはかつてのインディアン戦争で、カスターの第七騎兵連隊を全滅させた勇猛な部族。
その代償として、不毛の荒野に押し込められている。
この土地では、誰もが生き抜くために戦わなければならないのだ。
現代劇だが、このプロットをそのまま過去に置き換えれば西部劇として成立してしまうのが、いかにもアメリカ。
ミステリとしてはそれほど捻った作りではないが、キャラクター心理の織りなすビターな人間ドラマで魅せる。
テイラー・シェリダンは、自身の持ち味を生かして、実に味わい深い秀作を作り上げた。
俳優たちも素晴らしく、個人的にはジェレミー・レナーで一番好きだな。
ブログ記事:
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