みかぽん

ウインド・リバーのみかぽんのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.0
通勤途中では「女の子の未来に投資を。」と言う発展途上国を支援する団体の中吊りを時折見かけるが、先進国であるはずのアメリカに住む先住民は、今現在もゴミのように過酷な環境に押しやられ、まるで無いもののように見捨てられたままで、その民族のアイデンティティーまでもが根絶やしにされている。
中でも立場の弱い若い女性が毎年消えているのに、その明らかな統計すら取られていない闇についてもこの映画は教えてくれる。(とかく我々が持つアメリカのイメージはNYでありLAだが、それがいかにステレオタイプな短絡かをそろそろ知るべきかも知れない…)
物語を牽引するのは、フロリダで生まれ育ち、たまたまラスベガスでの仕事を終えやって来たまだ日の浅い若いFBI職員の女性と、この土地(ワイオミングの先住民居留区)で暮らし、ある事件をきっかけにその後の人生に深い影を落としてしまった中年ハンター。この異なる対比はこの国の表と裏を映し出しているようでもある。

傷ついた人間に向けた安易な慰めはその人間を更に傷つけるが、この映画はこうした細部も注意深く描いており、映画全体を重厚に引き締める結果としている(その役割を担うジェレミー・レナーの演技が本当に素晴らしい)。