きゃん

ウインド・リバーのきゃんのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.8
厳寒の大自然に囲まれたアメリカ中西部ワイオミング州にあるネイティブアメリカンの保留地“ウィンド・リバー”を舞台に、少女の殺人事件の真相に迫ったクライム・サスペンス。色濃い差別、偏見が渦巻く閉ざされたアメリカの闇も描かれていた。最初から最後まで緊張感が緩むことがなかった。

アメリカ、ワイオミング州。先住民族が住む深い雪に囲まれたウインド・リバーで、地元のベテランハンターであるコリー・ランバートが女性の遺体を発見する。FBIの新人捜査官ジェーン・バナーが派遣され、1人で捜査を開始するが雪山の厳しい自然環境や不安定な気候で難航する。ジェーンは、ウインド・リバー一帯に詳しいランバートの手を借りて調べを進めていく…

アメリカの先住民が、“いま”陥っている問題に焦点を当てていた。ネイティブアメリカンについて無知すぎて驚く事ばかりだった。こんな深い雪に閉ざされた山岳地帯に保留地があるのかと。自然の厳しさと共存し、世間とのつながりを遮断されている。弱肉強食の世界で強くないと生きていけない。大切な人からは決して目を離してはいけない。この地で生きていくことの運命を受け入れ、悲しみを受けいて生きている。強く優しく。コリーと娘を亡くした父親の2人が語り合うシーンは優しさが溢れていた。
雪原の風景は広大で、どこまでも広がっているような光景は圧巻だった。連日の猛暑を忘れるような寒さを感じた。

辛くて、重くて、心に響く作品。「ボーダーライン」も「最後の追跡」も見たことがないので見てみたいと思った。
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