Garu

ウインド・リバーのGaruのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.5
アベンジャーズな2人の名作。

今作を観て確信したのはテイラー・シェリダン監督(脚本)はアメリカ社会の闇にスポットを当てる天才。
観たくないような現実だが、そしてそれを目が離せなくなる物語に創り上げる。

今まであまり注目されなかった気がする“ネイティブアメリカンの軽視”。
殺人事件ならFBIが動けるが、レイプ事件ならば動けない…
広い土地に少ない警察官。そしてこんがらがったままの法律。

本作はそんな土地で主人公が“ハンター”と言う仕事をこなしただけとも言える。まさに雪原の西部劇。ホークアイよりかっこいい。

そして「ボーダーライン」でもそうだったが、熱い心がある女性捜査官を登場させ、その使い方が物凄く上手い。
完全に新人のひよっこではないが、ベテランではない。そこに若い女性ならではの弱いところが加わり、鬼気迫る展開に感情的な色が加わる。

特にエリザベス・オルセン演じるFBI捜査官が、被害者の実家に話を聞きに行くシークエンスが最高に素晴らしい。
同じかと思われた“強い気持ちの種類”の違い、この土地、この事件のこと、ジェレミー・レナー演ずるハンターがどういう人間なのかなど、見事に描かれている。
そして非常に胸が締め付けられるシーンもあり、観てる自分の終盤での気持ちの入り方が変わる。

同じくらいの気持ちだったとしても、心の在り方の差でわかったり、わからなかったりするんだ。

(30作品くらいとばして感想書いてしまった…)
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