Kogarath

ウインド・リバーのKogarathのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.4
雪原で凍死していた先住民の少女の謎をめぐるミステリーであり、その奥には何もかも奪われ続けてきたネイティブ・アメリカンの深い悲しみと怒りが横たわっている。
劇中の彼らは自らの境遇の不満を声高に叫ぶことはしないが、その過酷な住環境やセリフの端々から、長きに渡って不当な扱いを受けてきたことが覗える。諦めにも似た絶望と、容赦のない厳しい自然。果たしてここで法や正義が役に立つのか…観客はFBI捜査官バナーと同じ戸惑いを受けることになる。その辺の作りは同脚本の「ボーダーライン」にも通じるなーと。

そんな社会的ドラマとしても見応えがあるけど、サスペンス娯楽作としても優秀。回想の入れ方は上手いし、銃撃戦は文字通り手に汗にぎった。音楽も良いし、何より弓を銃に持ちかえたホークアイことジェレミー・レナーのカッコ良さ!過去の痛みを抱え続ける哀愁と、その眼に宿る静かな怒り。渋すぎる。
クライマックスは西部劇のような印象を残しつつも、ラストの少女の父親との会話や、実話ベースであることを改めて認識させるテロップにより、やりきれない感情に襲われた。現代社会から置き去りにされたアメリカの闇。そこに目を向けさせるだけでも意義のある映画だと思う。