かっこ

ウインド・リバーのかっこのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.0
『ボーダーライン』の脚本家が監督ということで鑑賞。
居留地の問題、さらっとは聞いたことはあるけど、それを扱った作品を観るのは初めて。

舞台になるウインドリバーリザべーションの自然は、とてつもなく美しい。
一方で、人間が生きるにはとんでもなく過酷なのがまざまざと描かれる。
空気が冷た過ぎて、息するだけで肺が凍って吐血して自分の血で窒息死するってなんだよそれ……。
そんな環境に強制的に移住させられたネイティブ・アメリカンたち。
伝統を奪われて生きがいを見失ってヤク中になっちゃうし、病院もめちゃくちゃ遠いし。
聞いたことのある居留地の問題が、登場人物を取り巻く「環境」として、まさに今ある現実として描かれる。ショック。
その上、人が死んでもFBIは新人捜査官を1人きりしか派遣しない。
「舐めてる」とは登場人物の談だけどまさにそう。
捜査官がジェーンだったから、そこにコリーがいたから、このケースは結末まで突き進んだものの、孤立無援の新人捜査官だったなら、無数の失踪ケースと同じく闇の中か。

ことの真相自体は、閉鎖環境でよくある(あってはいけないが)内容。
ただ、それが現代に現実に起きうる、起きている(かも)というのがとてつもない。
あんまり人死なないのかなーと思いきや怒涛の展開で結構死ぬ。
そこも吹っ切れた人間の怖さがでるけど、1番は法にとらわれない正義を貫いた“ハンター”のコリー。まさにハンター。
それでも最後は救いに繋がっているように見えて安堵。

観終わって、Google Mapsでウインドリバーリザべーションを眺めた。
まさに映画の内容に納得できる環境。
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