メランクさん

ウインド・リバーのメランクさんのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
5.0
逃げ出したくなるほど悲惨な現実と醜悪な人間の姿。
静寂と雪しかないインディアン保留地は、人々が目を背けようとするからこそほとんど無法地帯となってしまっているということだろう。

しかしだよ、「やれる場所なんだからやっちまおう」という心理でこのような犯罪が起こってるんだとしたら本当に悲しいし、クライマックスの撃ち合いを見ていてただただ泣けてきたよ。

はじめは保留地の中のラリった問題児たちが疑わしいってことで「悪い人たち」がやったことなんだと見せかけておいて、結局はただ働きにきた「普通の人たち」が「しくじった」だけの話だという結末。
しかも彼らは徒党を組んで捜査員たちを待ち受けているってなんだそりゃ?
本当に衝撃的な展開だった。

観客はどうしたって「仇討ち」を果たすフォークアイに同情的であり、
数百メートル走ってくたばるゲス野郎を見てザマァと思ってしまう。

でもそれは本質的な解決からは程遠い。

胸糞悪いし、モヤモヤするし、でもそれが現実なんだと受け入れるしかない。
本当に絶望する作品。