hajime363

ウインド・リバーのhajime363のレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
-
テイラー・ジェリダン監督が描く【現代アメリカの辺境】をテーマにした3部作の最終章。
本作の舞台となるのはネイティブアメリカン保留地。そこは先住民族による自治権が認められており州の権限が及ばない。さらに、雪に覆われた過酷すぎる環境も相まって“近代的な犯罪捜査(及び、それらにまつわる統計調査)”が十分に行われていない。

物語は少女の怪死を軸としたクライムサスペンスであるが、コリー(ジェレミー・レナ―)の設定や演出には西部劇感も漂うし、凸凹バディもの(長所短所補完する意味で)的な楽しみもあり、エンターテイメントとしても素晴らしい映画。

映画自体で描かれる葛藤(成長物語)は薄く感じたが、登場人物が非常に魅力的で余白(過去における葛藤)を想像させる見せ方がすごいと思った。
ハンターのコリーは既に過去のつらい経験を乗り越えており捜査に臨む姿勢は冒頭から一貫している。なので、物語上の葛藤は少ない。しかし、“意外とよく喋るハンター”という独特キャラで、“周囲に説く”シーンを介して過去の葛藤を想像させる。(良い知らせと悪い知らせ、のシーンが特に好き)

過去は覆らない。忘れ去るのではなく、常に過去と共に歩むこと、ですかね。(過去を肯定し、未来の行動を選択する)

あと、カメラもよかった!
重厚な音楽&引きの画で過酷な環境がひしひしと!森の中での一人称視点でドキドキ!
hajime363

hajime363