足拭き猫

ウインド・リバーの足拭き猫のレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
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これを観るまでインディアン保留地の存在を知らなかくて無知を恥じた。
保留地の中ではインディアンも白人を毛嫌いしているし逆もしかり。若い女刑事が現れた時の、男性だけでなくインディアンの妻の苦々しい顔。
公式サイトの解説に、インディアン保留地では若い女性がレイプされるのは通過儀礼のようなものになっている、と書いてあり言葉を失った。
「ここでの選択肢は、生きるか諦めるしかない」という土地では幾重にも差別と侮蔑が渦巻いている。なのだが、快適な生活を送ることができている私の周りでは、実はそれはすれすれで表面に出てこないだけなのではないだろうか。
ベッドでマットとナタリーがアメリカの土地の名前を次々に出してあそこは住む場所じゃないと笑う場面は切なすぎし、掘削地で多くの人がウロウロ歩いているだけの不穏な空気は見事。

しかし、長野県民の自分としてはいまいちマイナス20度の凍てつく雰囲気が画面に出ていないように思えたのと、音楽も過剰だったのが惜しい。