R

ウインド・リバーのRのネタバレレビュー・内容・結末

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

映画館で。

2018年の洋画。

監督は「最後の追跡」の脚本も務めたテイラー・シェリダン。

あらすじ

ワイオミング州ウィンド・リバー保安地。野生生物局職員のコリー・ランバート(ジェレミー・レナー「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」)は荒野のど真ん中で裸足で凍死した少女を発見する。事件の捜査のためにFBIから派遣された捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」)と共に捜査を開始するランバートはネイティブ・アメリカンの村社会の闇に直面していく。

シネマトゥデイでこういう作品やりますっていう記事で初めて知った時は「へぇー、面白そう」くらいだったんだけど、絶賛拝聴させてもらってる「アトロク」のムービーウォッチメンでリスナーさんが紹介していたメール内容でものすごく興味を惹かれて、近くの映画館でタイミング良くやっていたので観ました。

なるほど、評判に違わず面白かった。

舞台は、ワイオミング州ということで、調べてみると他の州よりも乾燥していて、気温差が大きいらしく、冬場は冷え込む時はものすごく寒いらしい。そんな環境下ということもあって、今作全編とにかく寒々しい。日本での公開は夏場の7月だったが、俺が観た時は10月の半ば、しかもコート着用するくらいの冷え込む日だったので、なかなかに臨場感があり、観ているだけで観客であるこちらの息も白くなりそうな雰囲気を醸し出している。

加えて、昔からインディアンの民族が住んでいたということもあり、土地柄やそこに住まう人々のネイティブ感もあって、異国感もあった。

さて、主演を務めるのはホークアイでもお馴染みジェレミー・レナー。アベンジャーズやMIPほっぽりだしてこんな小規模な作品に出てんかと思ったら、相棒がスカーレット・ウィッチことエリザベス・オルセンかよ笑。

今作でも、なんとなーく「エイジ・オブ・ウルトロン」の時のような気の合った感じが見受けられて、心地いい関係。はよ、アベンジャーズにも戻ってきて!!

ただ、物語全体のトーンとしては殺された少女がレナー演じるランバートの友人マーティン(ギル・バーミンガム「最後の追跡」)の娘だということがわかり、ジェーンが知らせに行くシーンで気丈に振る舞いつつも、後からやってきたランバートが訊ねると我慢できずに悲しみの嗚咽を漏らすシーンで、やはりインディアンという強い部族のイメージがあっても父親なんだなとしんみりさせられたり、あまり笑えるシーンがないことから、なかなかに陰鬱。

そして、やっぱり辺り一面雪景色で寒々しいこともあって、閉ざされた世界観が一層閉鎖的な印象を与える。

けど、代わり映えしないからといって決してつまらないわけではなく、2人が徐々に真相に近づいて行く感じがたまらなくイイ。

そして、迎える最終局面、どうやら殺された娘さんの彼氏のマット(ジョン・バーンサル「スウィート・ヘル」)が務める警備会社?の寮に応援の男衆を連れて向かうジェーン。

関係ないけど、バーンサルが出るとは思わなかった。前情報なしで「おっ!」と思わせる人選が絡む作品ていうのがあるが、バーンサルも「おっ!」と思わせてくれるような俳優さんになったんだなぁと感慨に耽るw

スマートだなと思ったのが、ジェーンがノックすると答える側(バーンサル演じるマット)の視点=過去のシーンにスイッチするんだけど、その自然なシーンの切り替わりに唸らされる。

そこで、事の発端である事件の真相が明かされるわけなんだけど、その前段階からピリついて一種即発ムードだった現場がジェーンのノックを導入剤としての、不意なショットガンの銃声で、遂に戦場と化す!!

近距離の銃撃戦はあるは、マシンガン乱射するわ、遠距離からはランバートが正確なエイムでの狙撃するわで、一瞬片田舎だということを忘れるくらいの血で血を洗う抗争が勃発し、まさに息を飲むようなスリリングさ。

それまで、一貫して静かなムードを漂わせていただけにその急転直下型のシーンの勢いに興奮を隠せなかった。

事件の首謀者にランバートが下す制裁も、まさにこの身も凍るような環境だからこそ為せる「刑」であって、なんつーか西部劇チックで落とし所としても溜飲が下がった。

そんな感じでほぼほぼ全編楽しめたのは事実だが、あらすじでも書いた今作の根幹というかテーマである「ネイティブ・アメリカンの村社会の闇」というのが、ここ日本に住む自分にとっては縁遠く、多分深いテーマ性を孕んでいることはわかるが、え?ネイティブ・アメリカン関係なくね?そりゃうら若い乙女がレイプされて殺されたら事件だし、ネイティブ・アメリカンだからといっても家族が悲しまないわけじゃないし…あ、もしかしてジェーン以外のFBIの応援が来ないのとか関係あるのか?とか色々考えちゃったのがちょっと残念だった。

もっとそこら辺勉強すれば、社会的な意味合いでも真の意味で本作を楽しめたのかもと思ったら、ちょっと損した気分になる一作だった。ただ、それでもちゃんと面白いですっ!!
R

R